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コラム

【税理士が解説】中小企業に有効な11の節税対策と注意点

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中小企業が事業の安定や成長を図るには、自社に最適な節税対策を取り入れることが重要です。
とはいえ、「どの方法を取り入れるべきか」「どのような点に注意すべきか」と、頭を抱える事業者様も多いことでしょう。
本記事では、中小企業に有効な節税方法と注意点を解説します。
少しでも税負担を軽減したい方は、ぜひ参考にしてください。

監修者(吉本貴幸)<この記事の監修者>

吉本 貴幸(よしもと たかゆき)
税理士法人吉本事務所
代表社員 税理士・行政書士

大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。

中小企業ほど節税対策の必要性が高い!

右肩上がりのグラフ

中小企業は、大企業より資金繰りが厳しいだけでなく税負担も大きくなる場合があります。
そのため、中小企業のほうが節税対策の必要性が高いと言えるでしょう。
自社に最適な節税対策を取り入れて税負担を軽減できれば、資金確保にもつながります。

ただし、無計画な節税対策は会社の資産を減らしてしまう恐れもあるため、自社の状況や将来を踏まえて検討することが重要です。

中小企業が支払う税金の種類

中小企業が支払う主な税金は、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」の4種類です。
なお、固定資産税や登録免許税、自動車税など、業種に応じてその他にも発生します。

法人税

法人税は、法人の利益に対して課税される税金です。
益金から損金を差し引いた残りの金額を「課税所得」と呼び、所得金額に応じた税率を適用して計算します。
法人税の税率は法人の種類や規模で異なり、普通法人の場合は資本金1億円以下の中小企業が15~23.2%、資本金1億円を超える大企業は一律23.2%が適用される仕組みです。
中小企業は税率が軽減されているものの、実際は大企業のほうが税制優遇により税負担が小さくなる場合もあります。

法人住民税

法人住民税は、地域の行政サービスを維持するために個人住民税と同様に課税される税金です。
均等割」と「法人税割」に分かれ、法人の規模や所得に応じた税額を納めます。
法人税割は赤字であれば納税義務は生じませんが、均等割は赤字でも納めなければなりません。

法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業に対して課税される税金です。
事業を行ううえで地域の行政サービスを受けているため、維持費を負担するために課されます。
付加価値割」「資本割」「所得割」「収入割」に分かれ、法人の規模や所得に応じて課税される点は法人住民税と同様です。

また、「特別法人事業税」は法人事業税の一部を分離した税金で、令和元年10月1日以降の事業年度から導入されています。

消費税

消費税は、商品やサービスの消費者に対して広く課税される税金です。
計算方法は「一般課税」と「簡易課税」の2種類に分かれ、どちらを選択するかによって税額が大幅に変わる事例も存在します。
ただし、簡易課税を選択できない場合もあるため、詳しくは税理士のアドバイスを受けたほうがよいでしょう。

なお、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は、納税義務がありません。

中小企業に有効な《11の節税方法》

お金の計算

ここからは、中小企業に有効な節税方法を紹介します。

1.役員報酬を計上する

経営者が受け取る役員報酬は、経費として計上できます。
ただし、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のうち、いずれかに該当する場合のみです。
中小企業の場合は、「定期同額給与」か「事前確定届出給与」で支給するケースが一般的でしょう。
役員報酬の金額設定を誤ると、個人の所得税や住民税、社会保険料が高くなる場合もあるため、節税とのバランスを考慮して検討することが重要です。

また、定期同額給与と事前確定届出給与の両方を組み合わせれば、役員賞与として計上できます。

定期同額給与毎月一定額を支給する給与
事前確定届出給与事前に支給額や時期を税務署に届出を行い、内容通りに支給する給与

なお、定期同額給与は事業年度開始日から3か月以内に金額を設定する必要があり、事前確定届出給与は原則として株主総会による決議から1か月以内、または事業年度開始日から4か月以内のいずれか早い日までに届出を行わなければなりません。

2.決算賞与を支給する

決算賞与は経費として計上できるため、節税効果が見込めます。
決算賞与とは、会社の決算業績に応じて従業員に支給する臨時ボーナスのことです。
従業員のモチベーションが上がるメリットもあるため、予想以上の利益が出た場合は積極的に検討するとよいでしょう。

また、賞与の区分によって損金算入の時期が異なり、一定の要件を満たせば未払いでも当期の損金として計上できます。
詳細は、国税庁のホームページで確認しましょう。

国税庁:使用人賞与の損金算入時期

3.設備・人材投資する

青色申告を適用する中小企業は、「中小企業経営強化税制」を利用できます。
中小企業経営強化税制とは、一定の要件を満たせば対象の設備を取得した場合に即時償却または税額控除を認める制度のことです。

対象の設備は、以下を指します。

機械・装置1台または1基の取得額が160万円以上
工具・器具・備品1台または1基の取得額が30万円以上
建物附属設備一の取得額が60万円以上
ソフトウェア一の取得額が70万円以上 ※一部除外あり

なお、平成29年4月1日から令和7年3月31日までに取得する必要があるほか、映画業を除く娯楽業などは制度を利用できない点に注意が必要です。
詳細は、国税庁ホームページで確認しましょう。

国税庁:中小企業経営強化税制

4.固定資産を整理する

基本的に現在使用していない資産にも固定資産税は発生するため、定期的に資産を整理することも節税の観点で重要です。
不要な資産を処分すると帳簿上の残高を除却損として経費に計上できることから、取得額が高い資産ほど大きな節税効果を得られると言えるでしょう。
ただし、除却損を計上するには、年度内に処分したことを証明する必要があります。
たとえば、廃棄した資産の一覧や写真、依頼した業者の請求書などが必要です。

5.旅費日当を支給する

旅費日当とは、宿泊費や交通費を除いた出張中に発生する費用のことです。
妥当な金額を支給すれば経費に計上できるほか、課税仕入れとして取り扱われるため、消費税の節税にも有効と言えます。
なお、旅費日当は非課税所得のため、受け取る個人に税金は課されません。

ただし、社内で定めた旅費規程の通りに支給する必要がある点には注意しましょう。
金額に関する明確な基準はないものの、常識の範囲内に留めておくことも重要です。

6.少額減価償却資産を計上する

青色申告を適用する中小企業は、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の資産を取得した場合に取得額の全額を経費に計上できる制度のことです。
通常は、資産を取得した際に取得額を耐用年数で分割して計上するため、特例を利用すれば大きな節税効果を得られる場合もあります。
なお、少額減価償却資産に計上すれば、「償却資産税」が課税される点には注意しましょう。

特例の対象は、以下の要件を満たす中小企業のみです。

1.常時使用する従業員の人数が500人以下であること
2.平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得していること
3.年度内の取得額が合計300万円を超えていないこと

また、資産の取得額が20万円未満であれば、一括償却資産として3年の均等償却で計上することも可能です。
一括償却資産には償却資産税が課税されないため、所得を圧縮する緊急性に応じて「少額減価償却資産」か「一括償却資産」のどちらで計上すべきかを選択しましょう。
緊急性が低ければ、一括償却資産を選択してもよいと言えます。

なお、令和4年度改正により、上記の規程や取得価格が10万円未満の資産の損金算入につき、租税回避防止の観点で対象資産から貸付けの用に供したものが除外するようになりました。

7.中小企業向けの共済に加入する

共済制度の掛金は全額経費に計上できるため、中小企業は節税と万一に備えて加入するのもおすすめです。
中小企業向けの共済制度は、主に以下の「中小企業退職金共済」と「経営セーフティ共済」が挙げられます。

中小企業退職金共済・中小企業が対象の退職金制度
・掛金の全額を経費に計上できる
・退職金制度を手軽に取り入れられる
経営セーフティ共済・取引先の倒産に備える制度
・掛金の全額を経費に計上できる
・掛金の10倍まで借入れできる

併せて、経営者個人の退職金として積み立てる「小規模企業共済」の加入も検討するとよいでしょう。

8.貸倒損失を計上する

取引先の倒産などにより売掛金が回収できない場合は、貸倒損失として経費に計上できる場合があります。
具体的なケースは、以下の通りです。

1.金銭債権が切り捨てられた場合
2.金銭債権の全額が回収不能な場合
3.一定期間の取引停止後に弁済がない場合

ただし、判断が難しく税務調査で指摘される場合も多いため、まずは税理士に相談することをおすすめします。

9.健康診断や社員旅行を実施する

健康診断や社員旅行などの福利厚生費は、一定の要件を満たせば経費に計上できます。
福利厚生を充実させると、節税の観点だけでなく従業員満足度の向上も期待できるでしょう。
具体的な要件は、以下の通りです。

健康診断・全従業員が対象であること
・会社が医療機関に直接支払うこと
・常識的に妥当な金額であること
社員旅行・4泊5日以内であること
・従業員の50%以上が参加すること

10.別会社の設立を検討する

別会社を設立して利益を分散することで、節税効果が見込めます。
資本金1億円以下の中小企業は、法人税の税率が課税所得800万円を境に区分されているためです。

▼普通法人の場合

年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.20%

また、交際費の限度額が2社分で倍になるのも、別会社を設立するメリットです。
ただし、不自然であれば税務調査で指摘される場合もあるため、節税目的のみで別会社を設立することは避けたほうがよいと言えます。
事業拡大を実現できるよう、税理士に相談しながら慎重に検討しましょう。

11.短期前払費用を計上する

前払費用のうち支払日から1年以内にサービスの提供を受ける費用は、「短期前払費用の特例」を適用すれば支払った時点で経費に計上できます。
たとえば、決算月に1年分の家賃を支払えば全額が当期の経費として認められ、節税効果を得られる仕組みです。
ただし、利益操作を防ぐために翌年以降も継続して支払うことが前提のため、目先の節税だけで判断することは避けましょう。

法人の節税対策やポイントをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
法人の税金対策やポイントを解説

中小企業が節税を実現するための注意点

上を指差した手

ここからは、中小企業が節税対策を取り入れるうえでの注意点を紹介します。

余計な投資はしない

経費が増えれば税負担は軽減できるが、余計な投資は損失を発生させます。
経営者にとって最も重要なことは、節税ではなく事業の成長であることに留意しておきましょう。
利益を上げるために必要か、節税以外にメリットはあるか、などを基準に検討することをおすすめします。

グレーな節税は避ける

合法とも違法とも判断しにくいグレーゾーンの節税対策は、税務調査で指摘される可能性が高いと言えます。
一時的な効果を求めるより、継続的な節税対策を検討すべきでしょう。

節税と脱税は異なる

節税とは、税法の範囲内で税負担を軽減させることです。
一方で脱税は、不正により税負担を軽減させることで、意図的でなくともペナルティを受けます。
適切かつ有効な節税対策を取り入れるには正しい知識が求められるため、税理士への相談も視野に入れて検討しましょう。

中小企業×節税対策に関するよくある質問

税金のイメージ

最後に、中小企業の節税対策に関するよくある質問に答えます。

法人の節税に裏ワザはある?

現実は、裏ワザと呼べるような節税方法は存在しません。
上記の節税対策を参考として、自社に最適な節税対策を検討することが重要です。

利益が出過ぎた場合はどうする?

利益が出過ぎた場合は、節税対策の必要性がより高まると言えます。
税理士に相談して、自社の状況を踏まえたアドバイスを受けるとよいでしょう。

利益を出さないことのリスクは?

節税対策を無計画に行うと、会社の資産を減らしたり今後の経営に影響を与えたりする恐れもあります。
将来を踏まえて検討する必要があるため、税理士への相談をおすすめします。

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当事務所は1978年の創業より積み上げた実績とノウハウをもとに、お客様を万全にサポートいたします。
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節税対策はもちろん、経営状況や資金繰りに関するお悩みなどもお気軽にご相談ください。

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まとめ

中小企業は大企業より資金繰りが厳しいうえ、税負担も大きくなる場合があるため、自社に最適な節税対策を取り入れることが重要です。
ただし、無計画に行うと会社の資産を減らしてしまう恐れもある点には、注意しましょう。
専門家である税理士のアドバイスを受け、自社の状況や将来を踏まえた節税対策を取り入れてください。

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