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コラム

【令和2年度税制改正】所得税、雑所得の計算等の見直し

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(1)背景

 シェアリングエコノミー(※)等の新分野の仕事は、給与所得者が兼業や副業として行うケースも多い。
こうした兼業や副業を行う給与所得者は、事業所得者や不動産所得者と異なり、帳簿の作成や確定申告の経験の少ない方が多い。
一方で、兼業や副業の所得に係る確定申告の件数が増加する傾向にある。
こうした点等を踏まえ、このような納税者がより簡便に所得金額の計算を行って確定申告ができるようにするために、雑所得を生ずべき業務についても、現金主義(※2)による所得計算ができることとされた。
他方、現金主義による所得計算は現金の収受を恣意的に翌年にずらすなど所得の帰属年度を操作することにより租税回避が可能となる。無制限に現金主義の適用を可能とすることは適正課税の確保の観点から適当ではない。

よって、前々年分のその業務に係る収入金額が300万円以下である小規模な業務を行う者に限って本特例の適用ができることとされた。

(※)車や家などの個人が所有する資産等の貸出しを仲介するサービス
Airbnb、Uber、民泊など。
(※2)発生主義における収入の計上時期は、年末までに現実に金銭等を受領していなくとも、「収入すべき権利の確定した金額」となる。
一方で現金主義は、収入や費用の計上時期を現金の出し入れ(実際に入出金があった)時期を基準とする。

(2)内容

イ. 雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円以下であるもの(以下「特例対象者」という。)のその年分の雑所得を生ずべき業務に係る雑所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。以下同じ。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができることとされた(所法67(2)、所令196の 2 )。

ロ.
雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分のその業務に係る収入金額が1,000万円を超えるものが、確定所得申告書を提出する場合には、雑所得を生ずべき業務に係る収支内訳書を確定所得申告書に添付しなければならないこととされた(所法120(6))。

ハ.
その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者等で、その年の前々年分のこれらの雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超えるものは、これらの雑所得を生ずべき業務に係るその年の取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を記載した現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされた(所法232(2))。

「現金預金取引等関係書類」とは、居住者等が雑所得を生ずべき業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものをいう(所規102(7))。
 具体的には、居住者等は、現金預金取引等関係書類を整理し、その作成又は受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から5年間、これをその者の住所地若しくは居所地又は雑所得を生ずべき業務を行う場所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない(所規102(8))。

(3)適用関係

 この改正は、令和 4 年分以後の所得税について適用される(改正法附則 5、7 (3)、11)。

【参照】財務省HP

 (2020年4月記載)

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