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合同会社の設立は税金対策として有効?節税効果やメリット・デメリットを税理士が解説

合同会社_税金_対策アイキャッチ

合同会社は徐々に認知度が上昇している会社形態で、特に個人事業主が法人を設立する際の選択肢として検討している方も多いことでしょう。
なかには「合同会社は節税しやすい」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

本記事では、合同会社の設立が税金対策として有効と言えるのかを解説します。
株式会社との違いから合同会社を設立するメリット・デメリットまで紹介するので、合同会社の設立による節税効果を知りたい方はぜひ参考にしてください。

監修者(吉本貴幸)<この記事の監修者>

吉本 貴幸(よしもと たかゆき)
税理士法人吉本事務所
代表社員 税理士・行政書士

大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。

「合同会社」と「株式会社」の違い

合同会社とは、出資者と経営者が同じである会社形態のことです。
一方、株式会社は出資者と経営者が切り離されているため、合同会社とは形態が大きく異なります。
また、合同会社は株式会社に比べて設立費用を抑えられるほか、決算公告が不要で設立のハードルが低いことも特徴です。

2006年に新設されたものの、近年では大手企業が株式会社から合同会社に移行した事例もあります。
有名な合同会社では、以下が挙げられます。

・Apple Japan合同会社
・Google合同会社
・アマゾンジャパン合同会社
・合同会社西友 など

合同会社の設立は税金対策として有効?

個人事業主が合同会社を設立することで、節税できる場合があります。
合同会社も株式会社と同じ法人として扱われることから、個人事業主とは課税される税金が異なるためです。
課税対象の所得が800~900万円を超える個人事業主は、税金対策を踏まえて合同会社の設立を検討したほうがよい場合もあると言えるでしょう。
ただし、個々の状況次第で一概には判断できないため、個人事業主が法人設立を検討する際は税理士に相談することが重要です。

【税金対策】合同会社の設立による7つの節税効果

税金のイメージ

ここからは、合同会社の設立による7つの節税効果を解説します。

1.法人税率が適用される

個人事業主の所得に課税される所得税は「超過累進課税」という所得が上がれば税額も高くなる仕組みが採用されています。
所得金額に応じて、最大45%の税率が適用される方式です。

一方、合同会社を設立した場合は、法人の所得に対して法人税が課税されます。
資本金1億円以下の中小企業は最大23.2%と所得による税率の変動が小さいことから、事業の経営状況を踏まえて合同会社の設立を検討するとよいでしょう。

2.役員報酬を計上できる

経営者の給与として受け取る役員報酬は、経費に計上できます。
とはいえ、役員報酬の金額設定は高ければよいわけではなく、適切な金額を設定しなければ個人の所得税や住民税、社会保険料が高くなる点に注意が必要です。
また、法人設立後は給与所得者として「給与所得控除」が適用されるため、より税負担を抑えられます。

3.消費税が免除される

新たに合同会社を設立した場合は、原則として設立1~2期目まで消費税の納税義務が免除されます。
3期目以降は、通例通り基準期間の課税売上高によって納税義務の有無が判定されます。
なお、課税期間の基準期間と特定期間は以下の通りです。

個人事業主基準期間:前々年
特定期間:前年の1月1日から6月30日まで
法人基準期間:前々事業年度
特定期間:前事業年度開始の日以後6か月

「基準期間」の「課税売上高」が1,000万円以下である法人または個人事業者は、消費税の納税義務が免除されます。
ただし、その前年の1月から6月もしくは前事業年度開始から6か月の期間(特定期間)における課税売上高(または給与等支給額)が1,000万円を超える場合は、課税事業者となります。
課税売上高とは、消費税課税の対象となる売上高をいい、土地の譲渡や貸付(1か月未満を除く)や保険診療収入など一定のものは消費税課税の対象外です。

また、1,000万円の判定をする際は、課税事業者である場合は税抜きで判定(売上高を1.1で割戻します)し、課税事業者でない場合(消費税を国に納付していない場合)は税抜きにする必要はありません。

ただし、資本金または出資金が1,000万円以上の法人は免除されない点に留意しておきましょう。
また、消費税の申告方法は「一般課税」と「簡易課税」の2種類から選択します。
納税義務が生じたらどちらが節税面で有利かを検討する必要があるため、税理士に相談するとよいでしょう。

4.赤字の繰越期間が延びる

青色申告を選択している法人は、最大10年まで赤字を繰り越せます。
翌年以降に大きな利益が出ても10年間は所得と損失を相殺(損益通算)できるため、より節税効果を引き出せます。
たとえば、所得額が600万円で損失額が400万円の場合は、相殺しきれない200万円を翌年以降に繰り越せる仕組みです。
とはいえ、資金繰りを考慮すると将来を見据えて計画的に解消させたほうがよいと言えます。
また、一定の要件を満たせば損失を前年の所得に繰り戻して、法人税の還付を請求することも可能です。

5.経費の範囲が広がる

個人事業主と法人では経費の範囲が異なり、法人のほうが経費に認められる費用が増えます。
具体的には、生命保険料旅費日当役員報酬賞与退職金などです。
経費に認められる費用を把握して漏れなく計上すると、より節税効果を引き出せるでしょう。

6.非常勤役員報酬を支給できる

個人事業主が家族従業員への給与を経費に計上するには、「6か月を超えて青色申告者の営む事業に専ら従事すること」が条件に含まれています。
一方、合同会社を設立した場合は家族を非常勤役員として役員報酬を支給できるため、法人税所得税相続税の節税が可能です。
ただし、実態がなければ税務調査で指摘される恐れもあるため、妥当と思われる金額を設定する必要があります。

また、社会保険の加入要件を満たす場合は保険料の支払いが生じるため、適切な金額は税理士のアドバイスのもと設定しましょう。

7.相続税の節税にもつながる

個人で不動産を所有している場合は、相続が開始すると相続税評価額によって不動産に対する相続税が計算されます。
一方、合同会社を設立して会社が不動産を所有している場合は、不動産ではなく合同会社の持分または払戻請求権が相続税の対象です。
一般的に合同会社の持分または払戻請求権の評価額は不動産に比べて低い場合が多く、結果として相続税の節税効果も見込めます。

ただし、社員が1人の場合は原則として死亡した時点で合同会社は解散となり、相続人に引き継がれません。
そのため、複数の社員を選任しておくか、定款に相続人が引き継ぐ旨を定めておく必要があります。

個人が合同会社を設立するメリット

MERIT

合同会社を設立する節税以外のメリットを紹介します。

設立費用とランニングコストが安い

先述の通り、合同会社は株式会社より設立費用を抑えられます。
当事務所がサポートする場合の設立費用を参考にしてみてください。

《税理士法人吉本事務所の法人設立費用(実費込み・顧問契約あり)》

合同会社60,000円
株式会社202,000円~(資本金の額による)

また、株式会社は決算公告が義務付けられており、決算ごとに費用が発生します。
一方で合同会社は決算公告の義務がなく費用も発生しないので、ランニングコストが安いのもメリットです。

経営の自由度が高い

合同会社は出資者と経営者が同じであるため、経営の自由度は高いと言えます。
株式会社を設立した場合は経営にかかわる重要な取り決めは、株主総会を開催する必要があるためです。
また、利益の配分も定款に定めることで自由に設定できます。
一方で株式会社は、株式数に応じて分配されます。

個人事業主より社会的信用度が高い

法人を設立することで社会的信用度が高まり、取引が円滑に進むほか、融資を受けやすくなります。
設立時は会社の基本情報を登記する必要があるため、安心や信用につながると言えるでしょう。
法人格での備品購入やリース契約ができるほか、FXなどでは法人格でのレバレッジで範囲を広げられることもあります。
また、法人格が要件とされる許認可の取得も可能です。

役員の任期がない

株式会社の場合は、最長で10年の任期があります。
一方で合同会社だと、重任登記ごとに発生する1万円程度の費用が省けます。
ただし、定款で任期を定めることも可能です。

有限責任しか負う必要がない

日常の取引などが万一破たんしても、責任範囲は出資額の範囲内でよいのも合同会社のメリットです。(代表者個人が保証人となっていない場合)
ただし、金融機関から融資を受ける場合は、会社の代表者個人が連帯保証人となることが多いので、融資された金額はほぼ「無制限」に責任を負うことになります。

個人が合同会社を設立するデメリット

上を指差した手

合同会社の設立は、デメリットも踏まえて検討しましょう。

社員同士のトラブルが起こりやすい

合同会社は意思決定の権利が社員平等のため、社員同士の意見が食い違うとトラブルに発展する恐れもある点はデメリットでしょう。
経営の自由度が高い反面、トラブルを防ぐための対策が必要です。
定款に別段の定めとして、社員過半数による賛否の規定をつくることもできます。

株式会社より社会的信用度が低い

合同会社の社会的信用度は個人事業主より高い一方で、株式会社には劣ります。
社長は「代表取締役」ではなく「代表社員」となり、一般の人は馴染みが薄く、株式会社より社会的な認知度が低いと言えます。
零細(小規模)かつ閉鎖的とみなされれば、相手先によって取引が制限されることもあるでしょう。
また、資金調達にかかる信用力が低いとみなされる可能性や、人材を募集する場合は「合同会社」という名称では応募が集まりにくい可能性もあります。

なかには不利な場面もあるかもしれませんが、最近は大手企業の影響により合同会社の認知度は上昇していると言えます。

資金調達の方法が限定される

株式会社は株式の増資による資金調達ができる一方、合同会社は補助金や助成金、借入が基本です。
大規模な資金調達はハードルが高いため、必要に応じて税理士へ相談するとよいでしょう。

合同会社×税金対策に関するよくある質問

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最後に、合同会社の税金対策に関するよくある質問を紹介します。

合同会社が支払う税金一覧は?

個人事業主が合同会社を設立した場合は、主に「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」が課税されます。

法人税法人の利益に対して課される税金
法人住民税地域の行政サービスを維持するために課される税金
法人事業税法人の事業に対して課される税金
消費税商品・サービスの消費者に対して課される税金

合同会社の経費で落とせるものは?

個人と法人では経費の範囲は異なるものの、事業に必要な費用しか認められない点は変わりません。
合同会社の経費で落とせるものは、主に以下が挙げられます。

・広告宣伝費
・交際費
・会議費
・旅費交通費
・通信費
・消耗品費
・事務用品費
・水道光熱費
・地代家賃
・福利厚生費
・給料賃金
・役員報酬 など

なお、判断が難しい場合もあるため、正確に計上するには税理士のサポートが必要です。

合同会社の経費はいくらまで?

事業に必要な支出であれば、個人事業主でも法人でも経費に上限はありません。
ただし、経費のうち接待交際費は資本金1億円以下の中小企業の場合で、年800万円までまたは接待飲食費の50%のいずれかが上限です。
なお、飲食等の費用が1人あたり5,000円以下の支出は、交際費に含めず処理します。

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まとめ

個人事業主が合同会社を設立することで、節税できる場合があります。
法人の所得に課される法人税は、所得税に比べて所得による税率の変動が小さいためです。
また、合同会社は設立費用とランニングコストが安いほか、経営の自由度が高いなど、節税効果以外にもメリットが多いため、選択肢の一つとしてぜひ検討してみてください。

合同会社は、当事務所の会社設立専門サイトでも特集していますので、よろしければ参照してください。
会社設立サイト 税務トピックス「合同会社(LLC)設立について」

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