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コラム

《税理士が決算直前の節税対策を解説》3か月前に検討すべき方法と節税効果とは

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決算直前に想定外の利益が出た場合は、翌期の税負担を抑えるための節税対策が欠かせません。
とはいえ、焦って経費を使うと本末転倒なため「どの方法を取り入れるべきか」「どのような効果があるのか」を慎重に検討しましょう。

本記事では、決算直前の節税対策を解説します。
12の方法を紹介するので、自社に最適な節税対策を検討してみてください。

監修者(吉本貴幸)<この記事の監修者>

吉本 貴幸(よしもと たかゆき)
税理士法人吉本事務所
代表社員 税理士・行政書士

大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。

決算対策とは?節税に対する正しい考え方

決算対策とは、決算直前に想定外の利益が出た場合に翌期の税負担を抑えるために行う節税対策を指します。
節税対策として決算前に経費を使う理由は、経費が増えれば利益を圧縮できるためです。
ただし、余計なものを購入しても手元のお金を減らすだけで、資金繰りに影響を与えかねません。
そのため、自社の状況を踏まえて節税効果とのバランスを基準に「どの方法を優先的に取り入れるべきか」を見極めることが重要です。

なお、赤字の場合は節税対策よりも金融機関対策を行うケースが一般的でしょう。

【決算3か月前】検討すべき12の節税対策

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ここからは、決算直前の節税対策を紹介します。

1.不要な資産・在庫を処分する

固定資産は、所有しているだけで償却資産税が発生するため、現在使用していないものは思い切って処分しましょう。
不要な資産を処分すると除却損または売却損として経費に計上できるので、取得額が高い資産ほど大きな節税効果を得られると言えます。
固定資産を処分した場合は、廃棄した資産の一覧や写真など廃棄したことを証明できるものを残しておくと安心です。
なお、償却資産税は課税標準額が150万円未満であれば非課税のため、不要な資産を処分して150万円未満に抑えるとよいでしょう。

また、不要な在庫を抱えている場合も同様で、整理すれば除却損または売却損として処理が可能です。
在庫が商品等の棚卸資産である場合には、売上や売上値引の処理となります。
時価より著しく低い金額で資産を譲渡すると、法人税や所得税、贈与税が課税されることがあります。

2.各種税額控除を適用する

税額控除とは、算出した法人税の税額から一定の金額を差し引ける制度のことです。
本来の納税額から直接控除されるため、適用を受ければ大きな節税効果が得られる場合もあります。
税額控除の種類は多数あり、それぞれ要件を満たすことで適用できます。

主な税額控除は、以下の通りです。

中小企業投資促進税制
研究開発税制
特別試験研究費の額に係る税額控除制度
中小企業経営強化税制 など

概要や要件の詳細は、国税庁ホームページで確認してみましょう。

3.取引先との交際費を見直す

飲食費や接待費などを含む取引先との交際費は、上限金額まで経費に計上できます。
資本金1億円以下の中小企業は、年800万円までまたは接待飲食費の50%のいずれかが上限と定められています。
上限まで漏れなく計上できるよう、交際費を見直すのも決算直前の節税対策としておすすめです。

なお、飲食等の費用が1人あたり5,000円以下であれば、交際費に含めず「会議費」など別の勘定科目で処理しましょう。
ただし、以下の記載がある書類を保管している場合に限ります。

1.飲食等のあった年月日
2.飲食等に参加した取引先等の氏名または名称及びその関係
3.飲食等に参加した者の数
4.その飲食等に要した金額
5.その飲食店等の名称・所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
6.その他飲食等に要した費用を明らかにするために必要な事項

4.決算日を変更する

所得を圧縮する緊急性が高い場合は、決算日を変更する方法も有効です。
たとえば、3月決算の法人が決算月に大きな利益が出ると確定した場合は、決算日を2月に変更することで約1年間の猶予が生じます。
翌期の決算に備えて節税対策を十分に行えば、税負担を抑えられるでしょう。

また節税目的でなくとも、たとえば「10月決算法人の洋菓子店」の場合、法人税等の申告期限が繁忙期の12月末となるので、繁忙期以外の月に決算日を変更し、余裕をもって決算申告をされることもあります。

なお、決算日を変更する際は、株主総会で賛成を得たうえで税務署にて手続きが必要です。
通常であれば手続きは比較的簡単で「異動届出書」と「定款の写し」の提出で完了します。

建設業許可を受けている場合は、他の手続きも必要となりますので、行政書士や税理士に相談してください。

5.未払費用を計上する

従業員給与や社会保険料、水道光熱費など今期に発生したものの支払いが翌期になる費用は、未払費用として計上できます。
多くの従業員を抱えている法人は、大きな節税効果を見込める方法です。
たとえば、3月決算の法人が3月分の給与を4月末に従業員へ支払う場合は、未払費用として今期の経費に計上できます。
その他にも家賃や通信費など支払う前にサービスの提供を受けている費用があれば、経費に計上しましょう。
ただし、翌期の支払い時に再度計上してしまわないよう注意が必要です。

6.前払費用を計上する

前払費用のうち支払日から1年以内にサービスの提供を受ける費用は「短期前払費用の特例」を適用すれば支払時に計上できます。
たとえば、決算月に1年分の家賃を前払いすれば翌年分の家賃全額が今期の経費に含められるため、節税効果を得られる仕組みです。
ただし、翌年以降も継続する必要があるので、一時的な節税効果を追わず慎重に検討する必要があります。

7.減資を検討する

減資とは、資本金を減らすことです。
ネガティブなイメージを連想させますが、節税の観点でメリットもあります。
節税目的で減資する場合のボーダーラインは、資本金1,000万円以下3,000万円以下1億円以下を目安にするとよいでしょう。

例として、以下のようなメリットが挙げられます。

資本金1,000万円以下・法人住民税の均等割が減額される
資本金3,000万円以下・中小企業投資促進税制を適用できる
資本金1億円以下・各種特例や控除を受けられる
・交際費が上限800万円まで認められる など

特に1億円以下に減資すれば多くの場合で中小企業として扱われるため、上記以外にもさまざまなメリットがあります。
ただし、いずれの場合も一定の要件を満たす必要があるため、実際に減資を検討する際は税理士に相談しましょう。

なお、設立時の資本金が1,000万円未満であれば、設立1~2期目までは消費税の納税義務が原則免除されます。

8.少額の備品を購入する

青色申告を適用する中小企業は「少額減価償却資産の特例」を適用できます。
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の資産を取得した場合に取得価格の全額を経費に計上できる制度のことです。
通常、資産を取得した際は取得価格を耐用年数で分割して計上するため、大きな節税効果を見込める場合もあります。

適用を受けるための要件は、以下の通りです。

1.常時使用する従業員の人数が500人以下であること
2.平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得していること
3.年度内の取得費が合計300万円を超えていないこと

なお、少額減価償却資産に計上すれば「償却資産税」の対象となる点には注意しましょう。
取得価格が20万円未満であれば、少額減価償却資産ではなく「一括償却資産」として3年の均等償却で計上することも可能です。
一括償却資産は償却資産税の対象から外れるため、所得を圧縮する緊急性に応じて「少額減価償却資産」か「一括償却資産」のどちらで計上すべきかを選択しましょう。

9.決算賞与を支給する

決算賞与とは、会社の決算業績に応じて従業員に支給する臨時ボーナスのことです。
決算賞与は損金として計上できるため、節税効果を見込めます。
同時に従業員のモチベーションが上がるメリットもあるため、予想以上の利益が出た場合は積極的に検討するとよいでしょう。

また、損金算入の時期は賞与の区分ごとに定められていますが、一定の要件を満たせば今期の損金として計上できます。
詳細は、国税庁のホームページで確認しましょう。

国税庁:使用人賞与の損金算入時期

10.旅費日当を支給する

旅費日当とは、宿泊費や交通費以外の出張中に発生する費用を指します。
妥当と思われる金額を支給すれば経費に計上できるうえ、課税仕入れに該当することから消費税の節税効果も見込めます。
ただし、社内で定めた旅費規程の通りに支給した場合に限られるので、あらかじめ規程を作成しておきましょう。
金額に関する明確な基準はないものの、常識の範囲内に留めておくことが前提です。

11.共済制度に加入する

共済制度の掛金は全額経費に計上できるため、節税と万一に備えて加入するのもおすすめです。
中小企業向けの共済制度は、主に以下の2つが挙げられます。

中小企業退職金共済・中小企業が対象の退職金制度
・掛金の全額を経費に計上できる
・従業員に直接支払われる
経営セーフティ共済・取引先の倒産に備える制度
・掛金の全額を経費に計上できる
・掛金の10倍まで借入れできる

併せて、経営者個人の退職金として積み立てる「小規模企業共済」の加入も検討しましょう。

12.不良債権を計上する

取引先の倒産などにより売掛金が回収できない場合は、貸倒損失として経費に計上できる場合があります。
具体的なケースは、以下の通りです。

1.金銭債権が切り捨てられた場合
2.金銭債権の全額が回収不能な場合
3.一定期間の取引停止後に弁済がない場合

ただし、判断が難しく税務調査で指摘される場合も多いため、税理士に相談したほうが懸命でしょう。

法人に有効な税金対策を詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
法人の税金対策を税理士が徹底解説

《Q&A》法人の節税対策に関するよくある質問

お金の計算

最後に、法人の節税対策に関するよくある質問を紹介します。

利益が出過ぎた場合はどうする?

利益が出過ぎた場合は所得を圧縮する緊急性が高まるため、税理士への相談も視野に入れて適切な方法を検討しましょう。
とはいえ、本来は計画的かつ段階的に対策を行うのが基本です。

決算前に経費を使う理由は?

先述の通り、決算前に経費を使う理由は、経費が増えれば利益を圧縮できるためです。
ただし、余計なものを購入しても手元のお金を減らすだけのため、将来を見据えて検討すべきと言えます。
無計画な節税対策は、会社の資産を減らしてしまう恐れがある点には注意しましょう。

中小企業に有効な節税対策は?

中小企業は大企業より税負担が大きくなる場合もあるため、節税対策の必要性が高いと言えます。
まずは、以下の記事を参考に「どのような対策を取り入れるべきか」を検討するのがおすすめです。

中小企業に有効な11の節税対策を税理士が解説

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まとめ

決算直前に想定外の利益が出た場合は、上記12の節税対策を参考に税負担を抑えましょう。
とはいえ、本来は計画的かつ段階的に対策を行うのが基本です。
税理士に相談しつつ自社に最適な節税対策を検討してみてください。

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