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コラム

【消費税】分割等があった場合の納税義務の免除の特例(事後設立)

アイキャッチ

親会社が100%出資して子会社を設立した場合に、一定の要件を満たすと、「事後設立」として分割に該当し、子会社に消費税の納税義務が生じる可能性があるという話です。

親会社  →  子会社

   100%出資で設立

子会社が資本金1000万円未満であれば、子会社は設立後2年or1年7ヶ月or1年は消費税免税事業者となります。

しかし、この設立が親会社からの分割であれば、子会社の消費税の納税義務の判定は、親会社の課税売上高を勘案することとなります。

今回のトピックスは、この分割でも、「事後設立」について触れたいと思います。

結論を先に述べると、子会社設立から6ヶ月以内に、帳簿価額100万円以上の資産を親会社から子会社へ譲渡すると、「事後設立」として分割があった場合の納税義務の判定を子会社はしなければなりません。

親会社  →  子会社

   子会社設立から6ヶ月以内に帳簿価額100万円以上の資産を譲渡

100万円の根拠は、会社法467条5項、会社法施行規則第135条です。

資本金→500万円を下回る場合は500万円
500万円×1/5=100万円

資本金600万円の場合は600万円×1/5=120万円以上
資本金800万円の場合は800万円×1/5=160万円以上

となります。

以下、根拠条文を記載します。

・消費税法 

第12条(分割等があつた場合の納税義務の免除の特例)

7項 第一項から第四項までに規定する分割等とは、次に掲げるものをいう。

(1,2号略)

3号 法人が新たな法人を設立するため金銭の出資をし、当該新たな法人と会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項第五号(事業譲渡等の承認等)に掲げる行為に係る契約を締結した場合における当該契約に基づく金銭以外の資産の譲渡のうち、当該新たな法人の設立の時において発行済株式の全部をその法人が有している場合であることその他政令で定める要件に該当するもの

・消費税法施行令

第23条9項 

法第十二条第七項第三号に規定する政令で定める要件は、金銭以外の資産の譲渡が、新たな法人の設立の時において予定されており、かつ、当該設立の時から六月以内に行われたこととする。

・会社法

第467条(事業譲渡等の承認等)

株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。

(1から4号略)

5号 当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。
イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額

・会社法施行規則

第135条(純資産額)

法第四百六十七条第一項第五号ロに規定する法務省令で定める方法は、算定基準日(同号に規定する取得に係る契約を締結した日(当該契約により当該契約を締結した日と異なる時(当該契約を締結した日後から当該取得の効力が生ずる時の直前までの間の時に限る。)を定めた場合にあっては、当該時)をいう。以下この条において同じ。)における第一号から第六号までに掲げる額の合計額から第七号に掲げる額を減じて得た額(当該額が五百万円を下回る場合にあっては、五百万円)をもって株式会社の純資産額とする方法とする。
一 資本金の額
二 資本準備金の額
三 利益準備金の額

(以下省略)

・この規定の流れとしては、会社法では成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用する純資産額の五分の一のものを取得すると事後設立とし、消費税法ではそれが6ヶ月以内であると分割等があった場合の納税義務の免除の特例が適用されるといった感じでしょうか。

なお、インターネット等で探しても、この内容は見当たりませんでした。

同業者様等でなにかご指摘等があれば、ご連絡下さい。

・関係判例

(平成24年2月22日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

納税者が「事後設立」と主張したが、「事後設立」でないとされた。

(2020年11月記載)

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